先生
そんなに、怒るなら私の存在ごと消してくれたら良かったのに。
小学生、わたし。
消しゴムがけが甘かったようだ。ひどく怒られました。
お前消しゴムかけたんか?
かけました
ここは何や?お前に実行委員を、する資格なんかないんや。丁寧に仕事できない人間がそんなことできるわけない。
17歳の私は今でもお風呂でこのことを思い出します。 消し忘れがあっただけでこんなにも怒られて、いくら謝っても傷つけられてわたしは社会が怖くなりました。 今でも残り続けているこれはどんなに消そうとしても消えない。 きっと私の中で消えないから怒られたんです。 本当は、本当に、こわかったんです。 思い出すと今でも涙が出ます。ほんとはとっても逃げ出したかったんです。でも、でも、誰も助けてくれませんでした。そこではそれが正義だったのです。 大人の言いなりになんか、ならなきゃよかった。
先生は少しでも機嫌を損ねると授業を完全にしませんでしたね。(普段もあまり教科書の中身的な授業はしませんが) わたしにはあんなに丁寧にと言ったくせに。 突き放しておきながら逃げることも許してくれなかったくせに。 先生はいつでもやめてしまえる。
中学受験の願書のお礼1組の先生に言うたんか?
いえ。
お前は感謝もできんのか。ほんとにありえんな 今すぐ、言うてこいや。
わたしの担任は産休でした。 なので誰が願書を書いてくれたのも知りませんでしたし6年生のわたしには学校内の仕組みなんて分かりません。 でもそれって先生のおしごとなんじゃないでしょうか。 いかにも「やってやった」という雰囲気で言うことではないでしょう。 もちろんありがたいとは思っていましたが、何も知らない子どもにそんなこと言ってしまえるんだ。
私はこのときから死ぬことばかりを考えています。高いところから下を見下ろせばここから落ちたら死ねるなと安堵したり、川を見れば重りがないと死ねないかも絶望したりとずっと死がついて回るんです。 いつか世界が終わるときには死にたいなんて思わないでしょう。 だけど、世界が終わったらみんなみんな死んじゃうんだなって。 ほんとに死を忘れられる瞬間私は死ぬんですよ。ねぇ先生みたい。あべこべで。 先生のことは今でも殺してしまいたいほど憎んでいます。